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2007年4月5日木曜日

厚労省による国民医療費推計をめぐって

現在、公表されている厚生労働省による国民医療費の将来推計値については、さまざまな議論があります。株式会社メソッド(東京、03-3220-9171)では、平成17年国勢調査に基づく人口推計を含めて国民医療費の将来推計を独自に行ってみました。このフォーラムの直接のテーマとはやや離れますが、どうぞ議論の参考にして頂きたいと存じます。

★ 近年の実質的な国民医療費はほとんど横ばいで推移

<厚生労働省による「医療制度改革を行った場合の2025年度の国民医療費=56兆円」に対し、メソッド独自試算では39兆円>

厚生労働省が2006年1月に発表した国民医療費の将来推計では、過去の医療費の伸び率などを基に、2015年度の国民医療費を47兆円に、2025年度を65兆円と推計している。同時に、「医療制度改革を行った場合は56兆円にとどまる」としている。

これに対し、日本医師会などが2025年度の国民医療費を49兆円とする独自試算を公表、国会でもこれら推計の妥当性をめぐる議論が展開され、一部では「厚労省は、医療費抑制のために、将来の医療費を過大に見積もっているのでは」との疑念も指摘されている。


現在公表されている最新の平成15(2003)年度の国民医療費は31兆5375億円、前年度の30兆9507億円に比べ5868億円、1.9%の増加となっている。また、国民一人あたりの医療費は24万7100円、前年度の24万2900円に比べ 1.8%増加している。

確かに、医療費の伸びは大きいが、これは当然ながら高齢者ほど1人あたり医療費が大幅に高額となるためという高齢化進行に伴う医療費の伸びと、医療水準の高度化に伴う医療費の高額化、さらには物価水準の変動までもが含まれるため、何が一番医療費の水準を左右している問題かという点は単純ではない。

このため、年齢階層別の医療費が細かく公表されている平成14(2002)年度の年齢階層別1人あたり医療費を基に、過去の人口構成に乗じて医療費を改めて推計してみた。その結果は下表に示すとおりである。2005年度については推計値であるが、2008年に公表される実績値と大きな差はないと考えられる。

この計算値は、これまでの年齢階層別人口に平成14(2002)年度の年齢階層別1人あたり医療費がかかったものと仮定した医療費であり、この計算値と実際の統計値の差が、医療水準の高度化および物価水準の上昇分を含む医療費の増加分とみることができる。

下表から分かるとおり、1985年度からの過去20年間の伸び率でさえ1.8%であり、この10年間、高齢化以外の医療費の上昇はなかったともいえる。もちろん、医療制度の改革も伸び率を押さえた要因ではあろうが、今後も改革を続ければ高齢化要因だけで推移するともいえる。

平成14年度年齢階層別医療費に基づく過去の推定値

今回の試算は、以上の前提と、昨年(2006年)12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来の年齢階層別人口から、高齢化以外の上昇要因について、1)これを見込まない場合(0.0%)、2)過去20年間の年平均伸び率の場合(1.79%)、3)過去15年間の年平均伸び率の場合(1.25%)、の3ケースについて推計を行ったものである。

厚生労働省の「医療制度の改革を前提とする2025年の56兆円」は、奇しくも過去20年間の伸び率を用いた場合の推計値と一致するのだが・・・・

推計結果の詳細はエクセルファイル「統計情報将来医療費推計.xls」をダウンロードしてご覧ください。

【この投稿に関する問い合わせ先】・・・株式会社メソッド(主任研究員)竹田 剛

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