先週末、12月15日(金)に開催された「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会(第3回)」において、特定保健指導の定義が一部見直され、平成20年度の対象者規模を約236.4万人、特定保健指導実施者数を1,341人と仮定するという案が示されました。また、健診データを長期間にわたって利用するためのポータビリティの確保について、医療保険者の負担などを考慮し、義務としての保管期間を5年とする考え方も示されました。この検討会資料は、基本的に過重な負担の軽減を求めてきた医療保険者の要望に応える内容となっている一方、大規模な特定保健指導のアウトソーシングに期待していた民間企業にとっては予想外の案となっています。
この日の検討会資料2-⑦によれば、平成20年度の40歳から74歳人口5,745万人に対し、特定健診受診率を60%と仮定すると3,447万人が受診。このうち平成16年国民健康・栄養調査による「動機づけ支援対象者=17.8%」「積極的支援対象者=16.5%」を基に1,182万人が特定保健指導対象者となります。さらに当初の特定保健指導実施率を20%として236万人を利用予定者としてみることになっています。なお、保健指導実施率は年ごとに5%ずつ上乗せされるとし、平成27年度には60%、利用予定者数975万人まで増加を見込んでいます。さらに、保健指導実施者数については、20年度に1,341人、27年度に5,530人とし、現状の医師・保健師・管理栄養士の人数などから「実施者の確保は可能と考えられる」としています。
特定保健指導に関して、これまで民間企業の中には、国保ヘルスアップ事業のイメージを基に1人あたり5万円から8万円の費用で、対象者数1千万人から2千万人と想定していた場合もあり、その落差はきわめて大きいと言えます。また、こうしたアウトソーシングへの民間企業の期待は別としても、ここまで特定保健指導対象者の範囲を絞り込む結果、果たして国民全体のメタボリックシンドローム対策がどれだけ進むのか、あるいは医療費の削減という医療制度改革の中心課題にどの程度迫ることができるのか、大いに疑問も残る資料の内容となっています。
この日の検討会の傍聴者によれば、この資料に示された案について、辻一郎東北大学大学院教授を座長とする委員から大きな異論は出なかったとのことです。このため、今後、資料2-⑨にあるとおり、モデル事業の結果を踏まえて「標準的な健診・保健指導プログラム」が確定するとしても、各医療保険者の事業計画案づくりが進む来年度前半期までは、今回の保健指導実施率などの数値が基本的な目安として用いられることになり、保健師等の人員配置計画など、今後に及ぼす影響はかなり大きいと考えられます。
2006年12月19日火曜日
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