先の投稿で取りあげた、12月15日の「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」では、被用者保険の被扶養者の特定健診について、市町村国保が被用者保険と地区医師会の契約を仲介する案を見直し、市町村国保が係わらないで直接契約する方式が提案された。被用者保険の被扶養者は、被用者保険組合から受け取った受診券を地区医師会などの特定健診実施機関に提出して受診することになりそうだ。
また、12月20日付の『国保新聞』によれば、この検討会で示された「特定保健指導の実施者数」などの健診・指導の実施規模見通しに関して、検討会席上で「直感的に考えても信じられない」「1300人程度で本当に足りるのか」「これだけの人数で済むから保険者はしっかりやってくれというのでは困る」・・・など複数の委員から試算を批判する声が相次いだ、とある。
やはり、これまでのきわめて大規模な取り組みのイメージとこの試算の落差に戸惑う委員が少なからずいたということになるだろう。・・・なお、先の私の投稿では、こうした試算への異論があったにも関わらず、「委員から大きな異論は出なかったとのこと」と書いた。しかし、これは取材といったことではない、一般的な立場の傍聴者の感想を基にしたものだった。訂正させて頂きたい。
2006年12月25日月曜日
2006年12月19日火曜日
当初の特定保健指導利用者236万人を想定(案)
先週末、12月15日(金)に開催された「保険者による健診・保健指導の円滑な実施方策に関する検討会(第3回)」において、特定保健指導の定義が一部見直され、平成20年度の対象者規模を約236.4万人、特定保健指導実施者数を1,341人と仮定するという案が示されました。また、健診データを長期間にわたって利用するためのポータビリティの確保について、医療保険者の負担などを考慮し、義務としての保管期間を5年とする考え方も示されました。この検討会資料は、基本的に過重な負担の軽減を求めてきた医療保険者の要望に応える内容となっている一方、大規模な特定保健指導のアウトソーシングに期待していた民間企業にとっては予想外の案となっています。
この日の検討会資料2-⑦によれば、平成20年度の40歳から74歳人口5,745万人に対し、特定健診受診率を60%と仮定すると3,447万人が受診。このうち平成16年国民健康・栄養調査による「動機づけ支援対象者=17.8%」「積極的支援対象者=16.5%」を基に1,182万人が特定保健指導対象者となります。さらに当初の特定保健指導実施率を20%として236万人を利用予定者としてみることになっています。なお、保健指導実施率は年ごとに5%ずつ上乗せされるとし、平成27年度には60%、利用予定者数975万人まで増加を見込んでいます。さらに、保健指導実施者数については、20年度に1,341人、27年度に5,530人とし、現状の医師・保健師・管理栄養士の人数などから「実施者の確保は可能と考えられる」としています。
特定保健指導に関して、これまで民間企業の中には、国保ヘルスアップ事業のイメージを基に1人あたり5万円から8万円の費用で、対象者数1千万人から2千万人と想定していた場合もあり、その落差はきわめて大きいと言えます。また、こうしたアウトソーシングへの民間企業の期待は別としても、ここまで特定保健指導対象者の範囲を絞り込む結果、果たして国民全体のメタボリックシンドローム対策がどれだけ進むのか、あるいは医療費の削減という医療制度改革の中心課題にどの程度迫ることができるのか、大いに疑問も残る資料の内容となっています。
この日の検討会の傍聴者によれば、この資料に示された案について、辻一郎東北大学大学院教授を座長とする委員から大きな異論は出なかったとのことです。このため、今後、資料2-⑨にあるとおり、モデル事業の結果を踏まえて「標準的な健診・保健指導プログラム」が確定するとしても、各医療保険者の事業計画案づくりが進む来年度前半期までは、今回の保健指導実施率などの数値が基本的な目安として用いられることになり、保健師等の人員配置計画など、今後に及ぼす影響はかなり大きいと考えられます。
この日の検討会資料2-⑦によれば、平成20年度の40歳から74歳人口5,745万人に対し、特定健診受診率を60%と仮定すると3,447万人が受診。このうち平成16年国民健康・栄養調査による「動機づけ支援対象者=17.8%」「積極的支援対象者=16.5%」を基に1,182万人が特定保健指導対象者となります。さらに当初の特定保健指導実施率を20%として236万人を利用予定者としてみることになっています。なお、保健指導実施率は年ごとに5%ずつ上乗せされるとし、平成27年度には60%、利用予定者数975万人まで増加を見込んでいます。さらに、保健指導実施者数については、20年度に1,341人、27年度に5,530人とし、現状の医師・保健師・管理栄養士の人数などから「実施者の確保は可能と考えられる」としています。
特定保健指導に関して、これまで民間企業の中には、国保ヘルスアップ事業のイメージを基に1人あたり5万円から8万円の費用で、対象者数1千万人から2千万人と想定していた場合もあり、その落差はきわめて大きいと言えます。また、こうしたアウトソーシングへの民間企業の期待は別としても、ここまで特定保健指導対象者の範囲を絞り込む結果、果たして国民全体のメタボリックシンドローム対策がどれだけ進むのか、あるいは医療費の削減という医療制度改革の中心課題にどの程度迫ることができるのか、大いに疑問も残る資料の内容となっています。
この日の検討会の傍聴者によれば、この資料に示された案について、辻一郎東北大学大学院教授を座長とする委員から大きな異論は出なかったとのことです。このため、今後、資料2-⑨にあるとおり、モデル事業の結果を踏まえて「標準的な健診・保健指導プログラム」が確定するとしても、各医療保険者の事業計画案づくりが進む来年度前半期までは、今回の保健指導実施率などの数値が基本的な目安として用いられることになり、保健師等の人員配置計画など、今後に及ぼす影響はかなり大きいと考えられます。
2006年12月18日月曜日
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2006年12月6日水曜日
サイト設置の趣旨
この研究フォーラムについてこの「特定健診・特定保健指導研究フォーラム(略称:メタボリックフォーラム)」は、東京・杉並のシンクタンク、株式会社メソッドが、 約1年半の期間限定で運営する公開フォーラムです。医療制度改革、特定健診・特定保健指導をテーマとするご意見、ご質問等をお寄せください。国民健康保険 や企業健保、保健センターや健診センターにおいて新制度の導入にむかって日々努めておられる皆さま、そして、医師、保健師、管理栄養士、健康産業関連企業、シンクタンクの皆さまの自由なアイデアと情報交流の場となることを目指します。
研究フォーラムのねらい今年(2006年)6月の「高齢者の医療の確保に関する法律」などにより、特定健診・特定保健指導が医療制度改革の中心に置かれました。しかしながら、国民皆保険制度の維持と増大する医療費の削減を目標とする医療制度改革の具体的道筋については、必ずしも世論の合意が形成されたとは言い難い状況です。また、メタボリックシンドローム対策に重点をおく特定健診・特定保健指導に関しても、40歳以上の市民について医療保険者ごとに実施するといったごく大まかな枠組みが決まったところであり、保健指導対象者の抽出方法や指導方法、効果の評価方法など、具体的な取り組みの方針はいまだ明らかになっておりません。
こ うした中で、とりわけ平成20年度の新制度導入にむけて準備を進めなければならない各医療保険組合のご担当者にあっては、必要かつ適切な制度施策関連情報に対するニーズが大変高くなっています。このサイトは、こうした皆さまに、シンクタンクとしての分析力を活かした情報提供を行うと共に、すべての関係者の皆さま相互の自由な意見交換の場となることを最大のねらいとしております。
かつて介護保険制度創設前後の数年の間、故高橋邦彰氏が主宰された掲示板コミュニティが大きな注目を集めたことがありました。以来5年ほどの間に、インターネットはさらに発展を続け、特別な機器やプログラムを用意しなくても柔軟な投稿管理を行うことができるこうしたサービスが登場するに至りました。今から1年半の後、このブログサイトを丹念に読むことによって、特定健診・ 特定保健指導という「医療制度改革の目玉」と位置づけられた新制度がどのように具体化され、あるいはどの点で未解決の課題をはらんだのかといった制度導入の経緯が細大漏らさず把握できる・・・そのような日がくることを願っております。どうか、皆さまの積極的な関わりによって、このサイトが充実・発展するよ うご協力をお願い致します。
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2006年12月6日 株式会社メソッド フォーラム担当研究員 千葉正隆
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